そもそも使用者とは?

労働基準法上の使用者の定義

労働者の正確な定義の続きで、今度は「使用者」の正確な定義について確認したいと思います。

労働基準法
第十条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

以上の条文から、労働基準法の「使用者」の定義として、以下の3点の類型があることがわかります。

①事業主
②事業の経営担当者
③その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者

それでは、以下上記①~③一つずつ解説していきます。

①使用者=事業主

事業主…と言われると、社長のイメージを持たれる方が多いと思います。

しかし、労働基準法上の「事業主」は、法人と個人事業で異なります。

社長=事業主となるのは、「個人事業」の場合です。

では、法人の場合の「事業主」とは誰を指すのかというと「法人組織の法人そのもの」となります。

例えば、大手企業の「UNIQLO」で言えば、「UNIQLO(正確には「ファーストリテイリング社」)」という会社自体が「事業主」となるわけですね。

②使用者=事業の経営担当者

こちらの「事業の経営担当者」という定義の方が、一般的な「社長」のイメージになります。

「UNIQLO」でいえば、名物社長の「柳井正さん」となるわけですね。

もちろん「経営担当者」というと、大きな企業になればなるほど社長以外の役員も多くなるので、それらの方たちも含めることとなります。

③使用者=その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者

最後に「その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者」についてです。

こちらは、「労働条件の決定、業務命令の発出、具体的な指揮監督等を行う者」とされていまして、先ほどの「UNIQLO」の例でいえば、本社の人事部長や、各店舗の店長やマネージャーなど、幅広く該当することとなります。

この定義に関して、一つ事例をご紹介します。

東京労働局過重労働撲滅特別対策班は、大手靴小売会社並びに同社の取締役及び店舗責任者2名を、労働基準法違反の容疑で、平成27年7月2日、東京地方検察庁に書類送検した。

多くの方がご存じであろう、某有名靴店の労働基準法違反で、「取締役(②事業の経営担当者)」だけでなく、「店舗責任者(③その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者)」も書類送検されてしまった、という事例です。

店長クラスでも書類送検されることもあるのか…と思われた方も多いと思いますが、

●店舗責任者
→具体的な指揮監督を行う者
→部長やリーダー、店長など、実態をもとに判断

というイメージでおさえておきましょう。

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