休憩時間について②「手待ち時間」に注意!知らないと損する働く人のためのルール解説
働いていると「休憩時間」の取り方について、疑問を感じることはありませんか?
「休憩ってどこまで自由に過ごしていいの?」「呼ばれたらすぐ対応しないといけない“待機中”は休憩に入るの?」など、現場ではグレーに感じることも多いかもしれません。
特に問題になりやすいのが「手待ち時間(てまちじかん)」という考え方です。
この記事では、働く人の立場から、労働基準法が定める「休憩時間」と「手待ち時間」の違いを、わかりやすく説明します。
実際の職場の例をまじえながら、「どこまでが労働時間で、どこからが休憩なのか?」という疑問にお答えします。
そもそも「休憩時間」ってどんな時間?
まずは基本から。
労働基準法では、労働者に一定時間働いてもらったら、必ず「休憩時間」を与えるよう、使用者(=雇う側)に義務付けています。
たとえば、1日の労働時間が6時間を超える場合は最低45分、8時間を超える場合は最低1時間の休憩が必要とされています(労基法第34条)。
そして、この「休憩時間」には大事なルールがあります。
休憩時間は、労働者が自由に使える時間でなければならない。
つまり、会社からの指示や仕事の拘束から解放されて、自分の好きなように過ごせる時間である必要があります。
昼寝をしても、スマホを見ても、外に出てもOK。
それが本来の「休憩時間」です。
「手待ち時間」とは?じつは労働時間にカウントされることも…
一方で、「仕事はしてないけど、すぐ呼ばれたら対応しなきゃいけない」というような状況、ありませんか?
このような状態を、法律では「手待ち時間」といいます。
手待ち時間とは:「使用者(雇い主)の指示があれば、すぐに仕事に取りかかれるよう待機している時間」
一見、仕事をしていないようでも、自由に過ごせない、場所を離れられない、食事や仮眠が難しい…といった状態であれば、それは「休憩」ではなく「労働時間」と見なされるのです。
これは、労働基準法で定められたルール。
実際の職場ではあいまいになりがちなところですが、法律上ははっきりと区別されています。
【ケース①】すし屋で「客がいなければ休憩していい」と言われたら?
では、実際にどんな場面が「手待ち時間」にあたるのか、具体例を見ていきましょう。
◆ ケース内容
カウンターのある街のお寿司屋さんで、見習いのスタッフが働いています。
店主からはこう言われています。
「お客さんがいない時は休憩していいよ。ただし、すぐにお客さんが来るかもしれないから、対応できるようにしておいてね。」
このような働き方、みなさんの職場でも似たようなことがあるかもしれません。
お客さんがいない時間は30分以上空くこともありますが、数分で次のお客さんが来ることもあります。
見習いスタッフはその間、お店を離れることも、ゆっくり食事をとることもできません。
◆ これは休憩?それとも労働?
この場合、見習いスタッフは常に「すぐに仕事に戻れる状態」でいる必要があるため、自由に行動できるとは言えません。
したがって、この時間は「休憩時間」とは言えず、法律上は「労働時間」とされます。つまり、お給料が発生すべき時間ということです。
「仕事してないのに労働時間になるの?」と思うかもしれませんが、**大事なのは「自由に過ごせるかどうか」**です。
【ケース②】マンション管理人の仮眠時間は休憩?
次に、別の事例を見てみましょう。
◆ ケース内容
マンションの管理人さんに、深夜に仮眠時間が与えられています。
ただし、住民から呼び出しがあったら、すぐ対応しなければなりません。
このような状況、実際に経験したことがある方もいるかもしれません。
私自身、以前住んでいたマンションで似たようなケースを見かけました。
カウンターにはベルがあり、用事がある住民はそれを鳴らして管理人さんを呼ぶ仕組みになっていました。
◆ 呼び出しがあるなら「手待ち時間」
このように、仮眠中でも「呼ばれたらすぐ出てこなければならない」状態であれば、手待ち時間にあたり、休憩時間にはなりません。
つまり、この仮眠時間も労働時間に含まれるのです。
◆ 本当に休憩にするには?
一方で、管理人さんが「○時から○時までは不在にします」というメモを貼って、その時間中は対応しなくてよい状態にするのであれば、その時間は「休憩」と見なされます。
要するに、「他人に邪魔されず、自分の意思で自由に過ごせる時間かどうか」が、休憩か手待ち時間かの分かれ目になるのです。
「仕事してない=休憩」とは限らない
このように、「今は仕事していない」ように見える時間でも、それが休憩時間になるとは限りません。
- 呼ばれたらすぐ対応しなければならない
- 店から離れることができない
- 食事も仮眠もとれない
- 休憩の時間が自分で選べない
こういった状態であれば、それは「手待ち時間」となり、労働時間にカウントされるべき時間です。
まとめ:知らないと損する「手待ち時間」、正しい休憩のために知っておこう
「休憩時間って、仕事してなければOKでしょ」と思っていたら、それは大きな誤解かもしれません。
労働基準法では、休憩は「労働から完全に解放された時間」でなければなりません。
「手待ち時間」は休憩時間ではなく、れっきとした労働時間です。
つまり、その分の給与が支払われなければなりません。
特にサービス業、介護、警備、建設現場などでは、こうした「見かけの休憩」が発生しやすくなります。
働く人自身がこのルールを知っておくことで、不当な扱いを避けることができます。
最後に:働く人の「当たり前の権利」を守る
知らないことで損をするのが、労働に関するルールの怖いところです。
でも逆に、知っているだけで自分を守れるのも事実です。
このブログでは、今後も「働く人の権利」「キャリアに役立つ情報」をわかりやすく発信していきます。
「これっておかしいかも?」と感じたときは、一人で悩まず、専門家に相談するのも選択肢の一つです。
気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。最後に:働く人の「当たり前の権利」を守るために
知らないことで損をするのが、労働に関するルールの怖いところです。
でも逆に、知っているだけで自分を守れるのも事実です。
このブログでは、今後も「働く人の権利」「キャリアに役立つ情報」をわかりやすく発信していきます。
「これっておかしいかも?」と感じたときは、一人で悩まず、専門家に相談するのも選択肢の一つです。
気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。
個人の方からのご相談は、下記からお願いいたします!