労働条件をしっかりと確認しましょう!
今回のテーマは「自身の労働条件をしっかり確認しましょう!」です。
正社員やパート、派遣やアルバイト…、雇用の形態を問わず、お仕事をしている方であれば必ず確認すべき事項ですので、ぜひお読みください!
労働基準法ではどのようなルールがあるか
労働基準法第15条には、以下のような定めがあります。
(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
○2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
○3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。労働基準法
上記にある「厚生労働省令で定める事項」、および、「厚生労働省令で定める方法」とは、労働基準法施行規則第五条に定めがありますが、簡単にまとめると…
・労働契約期間(いつからいつまで働くのか、または、期間の定めがないのか)
・期間に終わりがある場合(有期雇用契約)はどのような基準で更新されるのか
・どこでどんな業務をするのか
・何時から何時まで働くのか
・残業はあるのか
・休憩時間や休日、有給休暇はどのように決まっているのか
・お給料はいくらでどのような手段でいつ支払われるのか
・昇給はあるのか
・辞めるときはどのような手続きをすればよいか、また、辞めさせられる場合(解雇)はどんなとき・どんな理由か
以上の項目については、「書面を交付」することにより、はっきりと労働者に伝えなければならない、としています。
労働条件通知書を受け取ることを忘れずに!
この書面が、いわゆる「労働条件通知書」になりますが、交付しているケースが100%ではない、というのが、私の関係者の様子を見ていて感じます。
働く側も、ようやく採用面接に合格し仕事を始める期待で胸が一杯のときに、細かいことまで気にしない方が多いでしょう。
また、もし「あれ…労働条件通知書は?」と気づいていたとしても、その点をまだ入社していない会社側に伝えるのは、法の定めだとしても相当の勇気がいるでしょう。
このような理由から、「労働条件通知書の交付」はされない・求めないことが多いのではないかと思っています。
労働条件を確認しないとどんなリスクがあるか…?
しかし、社会人である方はもちろんのこと、学生のアルバイト・パートでも、「労働条件通知書」を受け取らないことは、非常にリスクがあります。
お仕事を始めた頃はよいですが、段々慣れてくると「あれ?あれ?」と気になることが出てくると思います。
例えば、
毎週日曜日が休みと聞いていたのに、働き始めるとちょいちょい日曜日の出勤を命じられるようになりました…
なんてことは良く聞く話です。
そのほかにも…
採用面接のときには、「一応1年契約だけど、普通は更新するし、みんなそうしているから安心してね」と言われていたが、1年経ったときに「1年契約と伝えてあったとおり、今月末でおしまいね。お疲れ様でした~」と、クビになりました…
と、労働契約を更新してもらえなかったり…
家の近くの職場ということで働き始めたが異動命令で別の支店で働くことになりました。そんな話は採用時には聞いていませんでした…
と、思わぬ異動を命じられたりすることも。
労働者側があまりしっかりと労働条件を確認していないことを理由に、会社の都合の良いように労働条件を変えてやれ!と、意図的に労働条件を変えてくるケースはない…と言いたいところですが、そこまでではなくても、会社側と労働者側の労働条件に関する理解・認識が、細かいところまで100%統一している、というのは、なかなか難しいものです。
あれ?繁忙期には日曜日の出勤があるって伝えていなかったっけ??
うちには複数の支店があるんだから、そりゃ別の支店で働く可能性があることくらい、はっきり言ってなくても想像つくでしょ?
なんのために1年契約にしているのか…それは、いろいろな事情でそこまでです、と辞めていただくために…
いろいろな事情?それはいろいろですよ…フフフ
という状況になってはじめて、「そういえば、労働条件は面接のときに口頭で教えてもらっただけで、しっかりとした書面には残っていないな…」と後悔することになります。
性善説で生きていきたいのは私もそうですが、ことビジネスの世界では「書面に残す」ということが、余計なトラブルを未然に防ぐ一番の手段であり、そうだからこそ法律でも定められているわけです。
そのため、「労働条件通知書をしっかりと受け取る」ことが、わすれがちですが、しっかりと覚えておかねばならないこととなります。
労働条件を明示してもらうのは大切なことです!
「せっかく採用面接に合格させてもらって、まだ入社もしていないのに、そんな書面を出せ!とこちらからお願いするのは、非常に勇気のいること」「最悪、会社の心象を悪くして働きづらくなったり、合格を取り消されたりしたら困る」と思う方もいらっしゃると思います。
それでも私はやはり、入社するまでに労働条件通知書の交付がない場合は、しっかりと会社側に交付を依頼するべきだし、それをしたことで、働きづらくなったり採用を取り消されたりしたら、それはそれまでの会社だったと、次の挑戦にシフトしてほしいと思っています。
もちろん、「どんなにブラックでも、働き口があるだけ幸せ」、「何社も不合格で、ようやく拾ってもらえた!」ということであれば話は別ですが、長期的に考えたときにいずれ苦しくなる瞬間がやってくる可能性が高いです。
もともと労働基準法という法律は、会社(事業主)と労働者であれば必ず会社(事業主)の方が力が強い、会社(事業主)の指示・命令にはどんなものでも従わなければならない、という状態を是正し、会社(事業主)と労働者を対等な立場にするために制定されたものです。
そして、まだ一部の会社・労働者は…
・労働者に仕事を与えて食わせてやっているんだからありがたいと思え
・毎月一定の賃金を受け取れるだけでもありがたい。そのためには会社の言うとおりになんでもする
というような意識を持っているようです。
しかし、真に永続的に成長する会社・労働者というのは、「会社の大きなミッションを達成するために、労働者に協力してもらう/労働者側は誠実に業務に従事し会社に貢献することで、自身の成長と賃金を得る」というような意識をもっています。
そのような意識を持っている証としての「労働条件通知書」なのです。