そもそも「労働法」とは?働く人が知っておきたい基本と主要な法律をわかりやすく解説!

今回は、「労働法とはそもそも何か?」というテーマで、法律に詳しくない方にもわかりやすく、労働法の基本的な考え方や主な法律の種類・目的などを解説します。

「労働法」という言葉はテレビやニュース、会社の中でもよく聞きますよね。
しかし実は、「労働法」という名前の法律が日本にあるわけではありません。
では、「労働法」とは何を指すのでしょうか?
この記事では、労働法の意味・目的・構成、そして働く人にとって特に重要な「労働基準法」についても詳しく解説します。


「労働法」という法律は存在しない?その正体とは

まず最初に、「労働法という名前の法律は存在しない」ということを知っておきましょう。
実際には、「労働法」は一つの法律ではなく、労働に関する多くの法律の総称です。

では、なぜこのような法律群が必要なのでしょうか?

労働においては、「会社(使用者)」と「労働者(社員)」の間に契約関係が結ばれます。
しかし、両者は法的には対等な契約当事者であるべきなのに、実際には力の差が生まれやすい関係です。

  • 労働者:生活のために働く立場。会社に従う必要がある。
  • 使用者:賃金を支払う立場。組織や契約内容に大きな影響力を持つ。

こうした力関係の差により、労働者が不利益を被ったり、過酷な労働環境で働かされるリスクがあります。
そこで、労働者を守り、適正な労働条件や働く環境を整えるために作られてきたのが「労働法」です。


労働法を目的別に分けると?主な法律とその役割

「労働法」は目的ごとにさまざまな法律に分かれており、それぞれが異なる角度から労働者を保護しています。ここでは主な法律を5つのカテゴリーに分けてご紹介します。

① 労働条件の基準を定める法律

働く時間、休み、賃金、労働環境など、労働の基本的な条件を定めている法律です。

  • 労働基準法:労働時間、残業、休憩、解雇、賃金などの最低基準を定める最も重要な法律
  • 最低賃金法:地域や業種ごとの最低賃金を定める
  • 労働安全衛生法:職場の安全・健康を守るための基準を定める

② 社会保障としての労働法(生存権の保障)

働けなくなったときの収入や医療費の保障など、生活を支える社会保険関連の法律です。

  • 労働者災害補償保険法(労災保険)
  • 雇用保険法
  • 健康保険法
  • 厚生年金保険法

これらの法律により、失業時や病気、ケガ、老後の生活を支える仕組みが整えられています。

③ 労働者の就業に関する法律(権利・義務)

働くことそのものを支える制度を定めた法律です。

  • 職業安定法:ハローワーク等での職業紹介のルール
  • 労働者派遣法:派遣労働のルールと労働者の保護

④ 平等な雇用の実現を目指す法律

性別や年齢、障害の有無などにかかわらず、すべての人が公平に働けるようにするための法律です。

  • 男女雇用機会均等法:性別による差別の禁止
  • 育児・介護休業法:仕事と家庭の両立を支援

⑤ 団結権や交渉権を守る法律

労働組合をつくる権利や団体交渉を行う権利など、労働者が集まって使用者と対等に交渉するための法律です。

  • 労働組合法

「目的条文」を読むと、その法律の役割が見えてくる

法律を学ぶとき、あるいは実務で使う際に大事なのは、「その法律は何のためにあるのか」を知ることです。
多くの法律では、第1条に「目的条文」が置かれており、その法律がどんな問題を解決するために作られたのかが明記されています。

たとえば、労働基準法の第1条は次のように始まります。

「この法律は、労働条件の最低基準を定めることにより…」

このように、まず目的を理解することで、法律の内容がぐっとわかりやすくなるのです。
これは、社会保険労務士試験などでも頻繁に問われる重要ポイントです。


労働基準法は「働く人を守る最低限のルール」

数ある労働法の中でも、特に中心的な役割を果たすのが「労働基準法」です。
この法律は、働く時間、休憩、残業、休日、解雇、賃金など、働く上で欠かせない**「最低限のルール」**を定めています。

ここでいう「最低限」とは、「この基準を下回ってはならない」という意味です。
つまり、会社は労働基準法の基準以上の条件を用意しなければならないということです。

企業の人事担当者や管理職だけでなく、すべての労働者がこの法律の基礎を理解しておくべき理由がここにあります。


働くルールの「優先順位」も知っておこう

職場には、労働基準法のほかにも、さまざまなルールがあります。
たとえば、「就業規則」や「雇用契約書」などです。これらのルールには**優先順位(法的効力の強さ)**があります。

一般的には、以下のような順序で優先されます。

  1. 憲法(例:第25条「生存権」/第27条「勤労の権利」)
  2. 判例・法理(法律に明記されていない項目の解釈に使われる)
  3. 労働基準法などの法律
  4. 労働協約(労働組合と会社の間で結ばれる契約)
  5. 就業規則(会社が定めた社内ルール)
  6. 労働契約(労働者と会社との間の個別契約)

この「上下関係」を知っておくことで、自分にとって不利なルールが設定されていないか、判断するヒントになります。


まとめ|労働法は「働くすべての人の味方」

いかがでしたか?
「労働法」とは、働く人を守るための法律の集合体であり、その中心には「労働基準法」があります。

  • 労働法は、会社と労働者の力の差を埋めるためのルール
  • 法律にはそれぞれ目的があり、第1条(目的条文)を読むのが重要
  • 労働基準法は、働く上での最低限のルール
  • 会社のルール(就業規則や契約書)にも優先順位がある

もし、職場のルールや自分の労働条件に疑問や不安があれば、一人で悩まず、専門家に相談することが大切です。

当事務所では、労働法に関するご相談を随時承っています。
「この契約内容って大丈夫?」「労働時間が法律違反かもしれない」など、どんなことでもお気軽にご相談ください。

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