失業保険(雇用保険の基本手当)の受け取り方と注意点~退職前に知っておくべきこと~

「会社を辞めたら、失業保険で当面の生活費を賄おう」そう考えている方は少なくありません。

ですが、いざハローワークの窓口に足を運んでみると、想像していたタイミングでお金が振り込まれず、戸惑ってしまう方が多いようです。

失業保険という呼び方は広く使われていますが、正式には雇用保険の「基本手当」という制度です。名前は知っていても、仕組みまで正確に理解している人は意外と少ないものです。

会社を辞める前だからこそ確認できることがあります。退職後に慌てないよう、ご一読ください。

失業保険は「辞めたら誰でもすぐもらえる」わけではない

雇用保険に加入していた方が離職した際、次の仕事が見つかるまでの生活を支えてくれるのが基本手当です。ただし、受け取るためには条件があります。

離職日以前の2年間で、雇用保険に加入していた期間が通算12か月以上必要です。会社都合による離職の場合はこの条件が緩和され、離職日以前1年間に6か月以上の加入があれば対象になります。

ここで見落とされがちなのが、離職理由によって扱いが大きく変わるという点です。

自己都合で退職した場合と、会社都合で退職した場合とでは、給付が始まるタイミングも、もらえる日数も違ってきます。自己都合退職の場合、7日間の待期期間に加えて、原則として1か月の給付制限がかかります。つまり退職してからすぐにお金が入ってくるわけではなく、1か月以上先になってようやく最初の支給が受けられるという流れです。この期間の生活費をどう確保するかは、退職を決める前に考えておくべき大切なポイントです。

一方で会社都合退職、いわゆる特定受給資格者やそれに準じる特定理由離職者に該当する場合は、この給付制限がありません。待期期間が明ければ比較的早く支給が始まります。

給付日数は「働いてきた年数」と「年齢」で決まる

もう一つ、退職前に把握しておきたいのが給付日数です。基本手当が支給される日数は、離職理由、雇用保険の加入期間、そして離職時の年齢によって決まります。自己都合退職の場合、加入期間が10年未満であれば90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日というのが一般的な水準です。会社都合退職の場合はこれより手厚く設計されており、年齢や加入期間によっては最大330日まで給付を受けられるケースもあります。

自分がどの区分に当てはまり、何日分の給付を受けられるのか。この見通しを持っておくだけで、退職後の資金計画の立てやすさがまったく変わってきます。退職を決断する前に、ご自身の雇用保険の加入期間を確認しておくことをおすすめします。

離職票が届くまでの流れと、退職前にできる準備

退職後、会社から「離職票」という書類が送られてきます。この離職票がなければハローワークでの手続きは始められません。会社側の手続きにも時間がかかるため、退職日から離職票が手元に届くまで、2週間から1か月ほどかかることも珍しくありません。

退職前にできる準備として、まず離職理由に関する認識を会社とすり合わせておくことが挙げられます。自己都合か会社都合かという区分は、離職票に記載される離職理由コードによって決まりますが、この記載内容について本人と会社の認識がずれていると、後からハローワークで異議申立てをする手間が生じます。

円満に退職の話を進める中でも、離職理由についてはきちんと確認しておく姿勢が欠かせません。

離職票が届いたら、住所地を管轄するハローワークへ出向き、求職の申込みと基本手当の受給資格決定の手続きを行います。このとき必要になるのが、離職票のほか、マイナンバーが確認できる書類、本人名義の預金通帳、写真、印鑑などです。

忘れ物があると出直しになってしまうため、事前に管轄のハローワークの案内を確認しておくと安心です。

受給中に見落としやすい注意点

基本手当を受け取っている間は、原則として「就職活動をしている」ことが前提になります。指定された期間ごとにハローワークで失業認定を受ける必要があり、この認定を受けなければ支給は行われません。求職活動の実績として、求人への応募や職業相談、セミナーへの参加などが求められます。

忙しさにかまけて認定日を忘れてしまうと、その回の給付が受けられなくなるため、スケジュール管理には気を配ってください。

受給期間中にアルバイトなどで収入を得ること自体は禁止されていませんが、申告を怠ると不正受給とみなされる恐れがあります。働いた日数や収入は必ず正直に申告する必要があります。ここでごまかしをすると、後になって全額返還を求められるだけでなく、その金額に上乗せしたペナルティが科される場合もあります。

目先の受給額を惜しんで隠すよりも、ルールに沿って正しく申告する方が結果的に安心できます。

再就職先が決まった場合には、再就職手当という制度が用意されています。基本手当の支給日数を一定以上残して早期に再就職した場合、残りの日数に応じた手当が受けられる仕組みです。

早く次の仕事が決まった人が損をしないよう配慮された制度ですので、転職活動が順調に進んだ際にはぜひ活用してください。

退職前だからこそ、確認しておいてほしいこと

失業保険は、次の一歩を踏み出すための大切な支えになる制度です。ただし、いつからいくら受け取れるのかという見通しを持たないまま退職してしまうと、生活資金の計画が崩れてしまうことがあります。

自己都合か会社都合かによって給付開始のタイミングも給付日数も変わること、離職票が届くまで一定の時間がかかること、受給中は求職活動と正直な申告が求められること。これらを退職前に押さえておくだけで、退職後の暮らしぶりは大きく変わってきます。

会社の人事担当者の立場からお伝えするなら、従業員から退職の相談を受けた際に、離職理由の整理や離職票の発行スケジュールについて丁寧に説明できるかどうかは、その後のトラブル防止にも直結します。働く方にとっても、雇用する側にとっても、雇用保険の基本手当という制度を正しく理解しておくことは、円満な退職と次のステップへの土台になります。

もし退職を控えていて、ご自身のケースでどのくらいの給付を受けられるのか不安がある方は、お近くのハローワークの窓口や、社会保険労務士への相談を検討してみてください。

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