厚生労働省「モデル就業規則(英語版)」解説 Article 18(Late Arrival, Leaving Early and Absence):就業規則の「遅刻、早退及び欠勤」を英語で定義する

厚生労働省の「モデル就業規則(英語版)」を詳しく、かつ「受験英語」のような視点で分かりやすく解説していきます。

【出典】https://www.mhlw.go.jp/content/001456902.docx

このブログは、外国人社員の採用に伴い英語の就業規則を整備する必要があり、単なる翻訳ではない「生きた法務英語」の理解を目指している経営者や人事担当者の皆様に向けて執筆しています。

前回は「始業及び終業時刻の記録(Article 17)」について解説しました。今回取り上げるのは、同じく第3章「服務」の第18条「遅刻、早退及び欠勤(Late Arrival, Leaving Early and Absence)」です。

遅刻や欠勤は、職場秩序や業務の進行に直接影響を与える重要なテーマです。あらかじめ手続やルールを明記しておくことは、労使間のトラブルを防ぐために欠かせません。条文の英語表現と法的実務のポイントを詳しく確認していきましょう。


(Late Arrival, Leaving Early and Absence)
Article 18 A worker must notify ___________ in advance and obtain approval when they will be arriving late, leaving early, or absent for a full day or a part of a day for personal reasons during working hours. However, in the case where they could not notify prior to such event for unforeseeable reasons, they must notify immediately after the event and obtain approval.
2. In the case of the preceding article, on principle, the wage corresponding to the hours of absence will be deducted pursuant to Article 45.
3. A worker must submit a physician’s certificate in the case where they will be absent for ____ consecutive day(s) or more due to injury or illness.

(遅刻、早退及び欠勤)
第18条 労働者は、所定労働時間内に、私用のため遅刻、早退又は欠勤するときは、事前に___に届け出て、許可を受けなければならない。ただし、やむを得ない事情により事前に届け出ることができなかったときは、事後速やかに届け出て、許可を受けなければならない。
2. 前条の場合、原則として、欠勤した時間に対応する賃金は、第45条により控除する。
3. 労働者が傷病のため連続__日以上欠勤するときは、医師の診断書を提出しなければならない。


late arrival [leɪt əráɪvl](名詞句):遅刻
動詞 arrive late の名詞形表現で、早退(leaving early)や欠勤(absence)と並んで勤怠管理の基本用語です。

in advance [ɪn ədvǽns](副詞句):事前に、あらかじめ
beforehand と同義で、事前の手続きや通知を求める際の定番熟語です。

prior to [práɪər tuː](群前置詞):〜より前に、〜に先立って
before のフォーマルな言い換えとして法務文書で多用される表現です。

unforeseeable [ʌ̀nfɔːrsíːəbl](形容詞):予測できない、不測の
見通す(foresee)に否定の接頭辞 un- と可能の接尾辞 -able がついた形で、やむを得ない事情を指します。

consecutive [kənsékjətɪv](形容詞):連続した、引き続いての
数字の直前に置いて「〜日連続で」を表す受験英語の頻出形容詞です。

physician’s certificate [fɪzíʃənz sərtífɪkət](名詞句):医師の診断書
内科医等を指す physician と証明書(certificate)を組み合わせたフォーマルな表現です。


遅刻、早退、欠勤に関する規定を自社の規程に落とし込む際、以下の3つの法的・実務的ポイントを押さえておく必要があります。

① 事前届出と事後承認のルール化
職場秩序(maintaining order)を維持するため、原則として事前届出(in advance)と承認(approval)を義務付けています。ただし、突発的な病気や事故などの不可抗力(unforeseeable reasons)が発生した場合に備え、事後速やかに(immediately after)届け出る例外規定を設けておくことが実務上不可欠です。

② ノーワーク・ノーペイ原則に基づく賃金控除
第2項では、欠勤や遅刻・早退によって労働が提供されなかった時間分について、原則として賃金を控除する旨が規定されています。労働基準法上、不提供の労働時間に対する賃金カットは認められており、控除額の計算方法(第45条)と連動させて明確に定めておく必要があります。

③ 診断書提出の要件設定
第3項にある連続欠勤時の診断書提出義務は、私傷病の休職手続や不正欠勤の防止、従業員の健康状態把握のために極めて重要です。空欄の ____ consecutive day(s) には、自社の運用に応じて「3日」や「4日」などの具体的数値を設定し、会社が状況を把握できる体制を整えましょう。


今回の条文から学ぶのは、副詞節における「未来を表す will の特別用法」です。

...when they will be arriving late, leaving early, or absent...

受験英語の文法では「時・条件を表す副詞節の中では、未来のことでも現在形を用いる」と習います。例えば When he comes, I will ask him. のように、when 節の中では will を使わないのが原則です。では、なぜこの条文では when の後ろに will be arriving late が使われているのでしょうか。

・受験英語における発展知識
予定や意図を表す will 副詞節であっても、「これから〜する予定である」「〜することになっている」という主語の予定や意図、将来の確定的な成り行きを表す場合、例外的に will や未来進行形(will be -ing)を用いることができます。

・進行形(will be -ing)のニュアンス
単なる動作ではなく、「(個人の都合等により)これから遅刻することになっている/遅刻する予定である」という状態や成り行きを表しています。

・法務英語での論理的メリット
就業規則の規定として、「実際に遅刻した瞬間」ではなく「事前に遅刻することが判明した/予定された段階」で会社に届け出るべきだという前提条件を厳密に示すため、この will be arriving late という表現が選ばれています。

このように、原則ルール(副詞節内の現在形)を踏まえた上で、なぜ will があえて使われているのかというニュアンスの違いを理解すると良いでしょう。


Article 18は、整然とした勤怠管理と円滑な組織運営を行うための基本ルールを定めています。

  1. in advance and obtain approval: 原則として事前に届け出て承認を得る。
  2. immediately after: 不可抗力の場合は事後速やかに報告させる。
  3. consecutive days: 連続欠勤に対する診断書提出義務で客観性を保つ。

あらかじめルールを明文化し、例外時の対応までクリアにしておくことで、無断欠勤や怠慢な勤怠を防ぎ、不公平感のない健全な職場環境を作り上げることができます。

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